第6回ヘルスケアベンチャー大賞

第5回 ヘルスケアベンチャー大賞結果のご報告

 

実行委員長からの報告

坪田一男

第5回ヘルスケアベンチャー大賞 実行委員会委員長
イノベーション委員会委員長
株式会社坪田ラボCEO
坪田 一男

 今年は、会場の参加登録者数が120名以上、WEB視聴の登録者数が300名以上ということで、本当に盛り上がりを感じました。5年前に「第1回ヘルスケアベンチャー大賞」を行った際は、10数名しか会場におらず、アイデアを出してみんなで頑張りましたが、ちゃんと伸びていくのかと心配に思っていました。今年の「第23回日本抗加齢医学会総会」でイノベーション委員会シンポジウムを行った際は、立ち見の席まで出まして、この領域で興味が高まっているということを感じております。

 岸田政権もスタートアップ創出元年を掲げておりますし、イノベーション委員会・副委員長の森下竜一先生も、先日「アカデミア発バイオ・ヘルスケアベンチャー協会」を立ち上げられ、物凄く大きな流れが起きているように思います。

 本大会をご覧になられた先生方の中には、まだ日本抗加齢医学会に入会はしていないものの、明日には入ろうと思った方がきっといらっしゃったと思います。やはりこういうものに興味を持っている方々が、新しい時代に、新しいことをやっていく原動力になるのだと思います。ぜひ本大会を機に、自分もイノベーションを起こそう、更に大きく飛躍させようと、そういう気持ちで次回もご参加いただければと思います。



第5回ヘルスケアベンチャー大賞を終えて

福田伸生

第5回ヘルスケアベンチャー大賞事務局
バイオ・サイト・キャピタル株式会社
福田 伸生

 最終審査会は前回よりも更に会場の熱気が伝わる開催となりました。終了後はファイナリスト同士、あるいはファイナリストと聴衆の皆さんとの交流会が行われ、審査会の熱気がその場に凝縮されたような充実した時間が流れていました。

 今回も昨年に引き続きハイレベルなベンチャーに数多く応募いただき、この大賞がスタートアップの世界で認知されていることを強く印象付けられました。その中で、大賞に輝いた株式会社アイ・ブレインサイエンス様には、技術シーズの事業化を考えている個人の皆さまも勇気づけられたのではないでしょうか。

 同社は、「第1回ヘルスケアベンチャー大賞」に個人で応募され学会賞を受賞された、武田朱公先生(大阪大学大学院 准教授)の技術を基に設立された認知症検査システム(プログラム医療機器として薬事承認)のスタートアップです。同社の髙村社長が受賞あいさつの中で「武田先生からの宿題を一つ果たした」と言われていましたが、このヘルスケアベンチャー大賞においてもエポックメイキングな受賞であったと思います。

 前回大賞に輝いた株式会社エムの森 進CEO(Johns Hopkins大学医学部放射線科教授)のように研究者が自ら創業されるケースもどんどん増えていますが、技術シーズを広く知っていただきプロの経営者に事業化を託すためにも、このような機会が果たす役割は大きいのではないかと思います。

この大賞が日本のスタートアップ発展の一助となるよう、企業の応募はもちろんですが、多くの個人の皆様の応募もお待ちしております。



総評

堀江重郎

第5回ヘルスケアベンチャー大賞 審査委員長
日本抗加齢協会 理事長
順天堂大学大学院 医学研究科泌尿器外科学 教授
堀江 重郎

 第1回から第5回まで、ヘルスケアベンチャー大賞の審査を務めさせていただきまして、年々、質・量ともに色々な形で発展していると感じました。特に今年は、個人・企業ともに、アンチエイジングメディスンがいよいよ社会実装に至ったことを感じさせる内容で、学会関係者とともに誇りに思っています。

 またこの大会は、坪田実行委員長や福田委員を始め、多くの関係者にプロモートしていただきながら育ってきているのだと思います。特に株式会社アイ・ブレインサイエンス様は、ビジネスモデルというよりも、すでにビジネスそのものが非常に成熟していると感じましたし、また様々な企業の一種のお手本であったと思います。

 ヘルスケアベンチャー大賞からこのような企業が生まれてきたということは、本当に喜ばしいことだと思います。来年以降も、ぜひ皆さまのお近くにいらっしゃる志しのある方にお声がけいただき、このヘルスケアベンチャー大賞を育てていただければと思います。



受賞コメント

大賞(企業)

株式会社アイ・ブレインサイエンス プレゼンター:髙村 健太郎
「認知症の早期診断を実現する医療機器の実用化」



 この度は栄誉ある大賞に選出していただき、誠にありがとうございます。
 当社事業の基盤技術となる「Eye Tracking-based Cognitive Assessment; ETCA」は、大阪大学大学院医学系研究科の武田朱公准教授が、多くの認知症患者を診られる中で、問診式の認知機能検査では患者(多くは高齢者)の「ストレス」が大きいことの解決手段を求めて開発したものです。
 この開発テーマは2018年に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のSTART事業に採択されて開発が進み、アカデミアの成果として第1回ヘルスケアベンチャー大賞「学会賞:個人」も受賞されています。
 当社は武田准教授の技術を産業化するために設立した大阪大学発のベンチャー企業ですから、第1回の受賞でいただいた「産業化」という宿題を今回の受賞で提出した思いでいます。まだまだ本格的な事業、次世代製品等の開発、海外展開に時間がかかりますが、まず第一歩ということで、これからも皆様のご指導やご支援をいただきたくお願いいたします。
 認知症は非常に患者数の多い疾患で、日本では2025年には730万人、世界では将来1億人を超えると予想されています。私たちにとってとても身近な病気ですが、実際に診断や治療を受けている割合が低いことも事実です。当社はまず、認知症診断の入り口となる問診をDX化した「ミレボ」について医療機器プログラム(SaMD)として薬事承認を取得しており、まもなく全国の医療機関でご使用いただけるようになります。また、薬機法に規制されない一般向けアプリとしても、認知機能評価法「MIRUDAKE」を提供していますので、幅広い用途でご使用いただけます。
 今後は、認知症以外の健康長寿を妨げる疾患や、社会問題となっている疾患を対象として製品開発を続け、健康的な社会の実現に向けて取り組んでまいります。




学会賞(企業) 

株式会社AutoPhagyGO プレゼンター:石堂 美和子
「健康寿命延伸を目指したオートファジー活性評価事業」



 この度は、学会賞に選出いただき、誠にありがとうございます。
 オートファジーは、2016年に大隅良典先生がノーベル賞を受賞した、日本が世界をけん引する数少ない研究分野の一つです。オートファジー研究は、大隅良典先生の研究グループが酵母における必須遺伝子を発見し、その機能解析を行い始めた1990年代から飛躍的に発展しました。
 当時同じ研究分野で大学院生であった私は、大隅研究室との共同研究に従事していたこともあり、その分野の発展を肌で感じる体験をすることができました。その後10年以上製薬企業でキャリアを積む中で、特に神経変性疾患分野でのオートファジーの創薬シーズとしての可能性を強く感じておりました。
 日本が最先端を行くオートファジー研究分野で、日本発のベンチャー企業が一刻も早く設立されることを期待する中、大隅研究室で助教授をされていた現大阪大学栄誉教授の吉森保先生がベンチャーの立ち上げを試みられているという話を人づてに聞き、オートファジー産業という新産業の創出に貢献したく参画を決意しました。
 日本では創薬開発期間を支える創薬ベンチャー産業が十分に醸成されておらず、基礎研究では日本がトップを走っていた研究分野であっても、実用段階で海外に先を越されるという事例が数多く存在します。私は、基礎研究の分野ではいまだ日本が世界をリードするオートファジー研究の果実を世界に先駆け社会実装し、健康長寿世界の実現により、日本のみならず全人類の福祉に貢献したいと強く願っています。
 最終選考会では、エイジングという社会課題に挑むファイナリストの皆様の各取組についてお話を伺い、交流を持つことが出来、大変励みになりました。このような機会を与えていただいたことに、深く感謝いたします。




ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞(企業)

エピクロノス株式会社 プレゼンター:清水 厚志
「日本人に最適化されたエピゲノム年齢測定によるアンチエイジングの見える化」



 この度は、「第5回ヘルスケアベンチャー大賞」ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞に選出頂き、誠にありがとうございます。弊社が受賞することができたのは、関係者の皆様のご支援、ご協力のおかげです。心より感謝申し上げます。
 「第23回日本抗加齢医学会」最優秀演題賞受賞をきっかけに作られた弊社は、2023年8月に設立されたばかりの岩手医科大学発のベンチャー企業第一号です。国際科学雑誌THE LANCET HEALTHY LONGEVITY誌にも掲載され高く評価された、「日本人に最適化されたエピゲノム年齢推定法」に加え、見つけにくい癌や疾患の兆候を「エピゲノムによる疾患のバイオマーカー」に検出、この2軸で事業を展開します。
 一生に一回の検査で済むゲノム検査とは違い、エピゲノム検査では生活習慣や食生活、ストレスなどがトリガーとなり変化するため、半年から1年ごとに検査を受けることで自身の身体の現在の問題点がわかります。目には見えない、普段の生活では気づくことのできない、身体の中の分子レベルでの変化を数値として見せることで、抗加齢がどの程度進んでいるかといった情報を提供することが可能となります。
 今後は、割高なエピゲノム検査の費用を下げ、検査のためのプロセスを簡略化、自動化することで少しでも多くの人々に対して、エピゲノムとエピゲノム年齢を知って頂き、生活習慣を改善するためのきっかけを提供することを目指します。
 私たちの取り組みがチャレンジ賞受賞という形で評価されたことを大変嬉しく思います。これからも受賞の喜びを胸に、一層の努力を重ね、弊社のコアバリューである、革新、篤実、そして共創を掲げ、他の企業や研究期間と共に、弊社のエピゲノム検査プラットフォームを活用しアンチエイジングの明るい未来の実現に向けて、引き続き精進してまいりますので、日本抗加齢医学会、日本抗加齢協会、そして関係する各社の皆々様のご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。




ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞(企業)

株式会社TrichoSeeds プレゼンター:福田 淳二
「男性型脱毛症治療のための毛髪の再生医療」



 この度は、ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞を授与いただき、大変光栄に思っています。株式会社TrichoSeedsは、KISTEC発・横浜国立大学発のベンチャー企業として設立されました。これまでアカデミック領域で研究してきた成果を社会実装したいという思いで、大学教員との2足のワラジを履きつつCEOとして活動してきました。今後、まずは1年以内の臨床試験への申請を目標に、頑張っていきたいと思っています。
 ヘルスケアベンチャー大賞の最終審査会に参加して感じたことは、ベンチャー企業としてすでに事業をしっかりと開始されており、将来のビジョンも明確かつ魅力的な企業が複数おられたことです。そのような企業の発表を拝見しつつ、自分たちの状況と比較することで大変刺激を受けました。
 また、発表会の最後に、坪田先生からのユーモアを交えた大変励みになる講演をお聞きしました。発表会には研究室の学生らも参加してくれていましたが、坪田先生の“飛び出そうGO OUT”のメッセージがしっかりと彼らにも届いていました。大学生の起業マインドを育てるためにも、まずは自分がチャレンジしなければと思ってきました。今後とも、できれば研究室の学生らに楽しそうな背中を見せつつ、その中から、つぎつぎと新しいアイデアに基づくベンチャー企業が生まれてくればと思っています。また今回は最高賞ではありませんでしたので、次のフェーズまで株式会社TrichoSeedsを成長させて、再度チャレンジしたいと考えています。




ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞(企業)

株式会社プリメディカ プレゼンター:小川 健太
「日本人腸内細菌叢データベースを活用した腸内環境評価システムの開発」



 この度は、ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞に選出いただき、誠にありがとうございます。共同研究を実施いただいている先生方との研究成果がこういった形で評価されたことを非常に嬉しく思います。事業化という側面においては、当社社員の力を結集させることで実現できたことなので、このような賞をいただけたことは社員にとっても非常に励みになりました。
 腸内細菌は1,000種類、100兆個も存在するといわれ、私たちの健康状態にあらゆる影響を及ぼすことが明らかになりつつありますが、健康診断のような客観的な評価指標は確立されておりません。本事業を通して得られた日本人特有の「5つの腸内フローラタイプ」という評価指標を活用することで、食品開発を目的とした研究や腸内環境のセルフチェックの促進につなげていくことができればと考えています。この「5つの腸内フローラタイプ」は生活習慣病をはじめとする疾患や食習慣との関連性も見えてきており、現在も更なる研究を進めております。
 本事業は腸内フローラ検査サービス「Flora Scan(R)」(フローラスキャン)という形で研究成果の社会実装を実現することができましたが、この成果を一時的なものとして完了させるのではなく、継続的なアップデートを目指しています。また、社会実装を通して新たな研究課題を発見することもできたので、今後も引き続き研究を推進していくことができるよう努めてまいります。
 今回のヘルスケアベンチャー大賞を通して本事業を知っていただくことができた皆さんとも、腸内細菌叢研究においてご一緒できれば幸いです。




アイデア賞(個人)

プレゼンター:市川 寛(同志社大学大学院)
「超音波照射による酸化ストレス耐性誘導を介した老化関連疾患予防法の開発」



 この度は「アイデア賞」をいただきありがとうございました。
 「活性酸素・フリーラジカル」という言葉は皆さんもよくご存知だとは思いますが、実は名前だけが先行して知られてしまい、酸化ストレスの研究者の立場からは、正しい知識が国民の皆さんに伝わっていないことを忸怩たる思いで過ごしておりました。また、抗酸化物質の摂取が生体の抗酸化能を高めて、老化関連疾患の予防が可能であることはわかってはおりましたが、その効果には限界があることも気付いておりました。
 食品や運動に頼らず、手段を選ばずに、なんとしてでも生体の抗酸化能を高めて、あらゆる病気を予防したいとの思いが、今回の研究に繋がっております。
 微弱な超音波を体表の一部に1分~数分間、隔日に照射するだけで、生体内の抗酸化能は数倍に上昇するという結果を得た瞬間は、私自身の中でも体が震えるほどの感動を得たことを覚えております。
 今回の研究のポイントは、すべての細胞が外的刺激に対し同じ機序で酸化ストレス応答を示すという点にあります。具体的には、外的刺激の種類に関わらず、ミトコンドリアや血小板活性化因子受容体から二次的に活性酸素が産生され、また、二次的に産生された細胞内で消去しきれない活性酸素がミトコンドリアの機能を阻害して疾病を誘導するというものです。したがって、細胞内での抗酸化能を高く維持することがミトコンドリアの品質を保持することにつながり、その結果、すべての酸化ストレス関連疾患を予防することとなります。一方、微弱な超音波は、二次的に適度な量の活性酸素を細胞内に産生させ、そのホルミシス効果で生体の抗酸化能が誘導されることもわかりました。すなわち、細胞障害機序と抗酸化能誘導機序は、全く同じであると言うことです。
 我々が提唱する超音波照射方法は極めて安全で、また費用対効果も機能性食品に比較して極めて高いことがわかっています。また、2MHzの水中超音波だけではなく、40kHzの空中超音波でも生体の抗酸化能が著しく高く誘導されることが判明しており、既にヒトにおいてもその効果を確認しています。
 健康を保持する手段としての超音波の利用は、医療・介護の分野のみならず、スポーツや美容の分野、一般家庭でも応用が可能です。できるだけ多くの方に本技術を利用していただくためにも、皆様と協力して少しずつ科学的根拠を積み上げながら、新しい健康保持増進手法として、日本から世界に発信したいと考えています。




アイデア賞(個人)

プレゼンター:楠 博(大阪歯科大学)
「オーラルフレイルの新規診断法と治療薬の探索-医科からのアプローチ」



 この度は、「第5回ヘルスケアベンチャー大賞」にてアイデア賞に選出いただき、大変嬉しく思っております。改めまして、日本抗加齢協会・日本抗加齢医学会の関係者の皆様、ヘルスケアベンチャー大賞選考委員会の皆様に厚くお礼申し上げます。
 口腔機能は様々な全身疾患との関連が注目されていますが、医師の間ではまだまだ認知度が低い面もあります。本研究は日常診療から口腔機能にアプローチするという意味で、医科歯科連携推進の橋渡し、きっかけになればよいと考えています。
 我々医療系大学の教員は日常診療と教育のdutyで相殺され、本審査会のテーマである事業化、産業化まで見据えることが難しい状況のある面は否めません。本審査会に今回参加させていただいたことで、普段とは違う視点で、医学、医療を見据えることができたと感じております。
 坪田先生のお話の中に「GO OUT」というものがありましたが、これは「今いる場所から飛び出して、新たな場所で新たな可能性を模索する。」という概念だと理解しております。私は「GO OUT」をはからずも繰り返し、学部教育を受けた出身大学、卒後教育、大学院教育を受けた出身医局の大学を含め、既に4校の大学に在籍したことになります。それぞれの大学で多くの方々に大変お世話になり、様々な経験をさせていだたき、感謝の想いで一杯でありますが、同時にそれぞれの大学で独特の価値観、校風、カラーのようなものを感じることができたのは自分にとっては大きな財産であると考えております。
 「GO OUT」は場所を変えるだけでなく、日常の生活の中にも新たな可能性、ちょっとした工夫や改善点などを考えることも含まれるのではないかと考えております。そうした個人の小さな心がけが、新たなイノベーションを生み出す原動力になるのだと思います。今後もヘルスケアベンチャー大賞が、多くの方々のイノベーションを模索するきっかけになることを確信しております。



第5回 ヘルスケアベンチャー大賞結果のご報告(※五十音順)

◇大賞(企業)

株式会社アイ・ブレインサイエンス / プレゼンター:髙村 健太郎
「認知症の早期診断を実現する医療機器の実用化」


◇学会賞(企業)

株式会社AutoPhagyGO / プレゼンター:石堂 美和子
「健康寿命延伸を目指したオートファジー活性評価事業」


◇ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞 (企業) 

エピクロノス株式会社 / プレゼンター:清水 厚志
「日本人に最適化されたエピゲノム年齢測定によるアンチエイジングの見える化」


株式会社TrichoSeeds / プレゼンター:福田 淳二
「男性型脱毛症治療のための毛髪の再生医療」


株式会社プリメディカ / プレゼンター:小川 健太
「日本人腸内細菌叢データベースを活用した腸内環境評価システムの開発」


◇アイデア賞 (個人)

プレゼンター:市川 寛(同志社大学大学院)
「超音波照射による酸化ストレス耐性誘導を介した老化関連疾患予防法の開発」

プレゼンター:楠 博(大阪歯科大学)
「オーラルフレイルの新規診断法と治療薬の探索-医科からのアプローチ」



ファイナリストの紹介

書類審査~1次審査を経て、企業5社/個人2名が最終審査会へ出場するファイナリストに決定しました。

〈企業・団体:5社〉※五十音順

日本人に最適化されたエピゲノム年齢測定によるアンチエイジングの見える化

エピクロノス株式会社 清水 厚志(Shimizu Atsushi)

 岩手医科大学発の初のベンチャー企業として設立された弊社は、日本人向けのエピゲノム年齢測定方法を世界で初めて確立しました。この成果は国際医学誌に掲載され、抗加齢医学会で最優秀演題賞を受賞。さらに、経産省主催J-STARTXでファイナリストに選出され、ボストンで大学や企業と今後の展開を議論しました。私たちの使命は、生物学的年齢を見える化し、アンチエイジングと健康維持に貢献することです。エピゲノム変化の生活習慣への影響を明らかにし、個別の目標設定や健康プログラムの開発、疾患予防をサポートします。大賞受賞を通じて、多くの人々に生物学的年齢(エピゲノム年齢)を知っていただき、フレイルや加齢に伴う疾患の発見、予防までカバーする技術を開発し、アンチエイジングの未来を切り拓くことを目指しています。どうぞよろしくお願いいたします。

エピクロノス株式会社 清水 厚志(Shimizu Atsushi)

認知症の早期診断を実現する医療機器の実用化

株式会社アイ・ブレインサイエンス 髙村 健太郎(Takamura Kentaro)

■課題ドリブン型製品開発
 認知症診療における「問診式認知症テストの患者心理負担」の解決手段として「アイトラッキング式認知機能評価法」を開発・起業。
■短時間、簡易、低コストな製品提供
 汎用タブレットを用い、3分間画面を”見るだけ”の製品を提供。
■精神神経医療領域のDX化
 アイトラッキング技術をコアに、認知症、うつ、ADHD等の検査補助から予防/治療までのDX化。
■SaMD(医療機器プログラム)と一般向けアプリ
 認知機能評価法は医療機関への展開(2024年から大塚製薬が販売)と、介護施設、食品分野、地方自治体等への一般向アプリを展開。
■高齢者課題国から海外へ発信
 日本発の技術をアジア(ASEAN、中国、韓国)向けに先行し、US、EUへ順次輸出・展開する。

株式会社アイ・ブレインサイエンス 髙村 健太郎(Takamura Kentaro)

健康寿命延伸を目指したオートファジー活性評価事業

株式会社AutoPhagyGO 石堂 美和子(Ishido Miwako)

 細胞内の分解およびリサイクルを担う重要な機能であるオートファジーの活性は、加齢と共に低下します。加齢に伴うオートファジー活性の低下を抑えることで健康長寿が実現できるというエビデンスは、多くの動物試験で検証ずみであり、かつこれまでにない全く新しいアプローチであり、根本的なアンチエイジング手法となり得ます。我々は、オートファジー活性を測定・評価する技術を事業化し、オートファジー活性を亢進させる食品・化粧品・医薬品素材を開発しています。これまでに3製品のサプリメントを共同開発製品として上市しており、今後自社開発素材の上市も予定しています。更に、ヒトでのオートファジー活性測定手法の確立とともに、オートファジーの力で、誰もが老化に悩まず生き生きと生活できるような社会の実現に貢献します。

株式会社AutoPhagyGO 石堂 美和子(Ishido Miwako)

男性型脱毛症治療のための毛髪の再生医療

株式会社TrichoSeeds 福田 淳二(Fukuda Junji)

 脱毛症は命に関わりませんが、悩んでいる方は世界中におられることから、私達の毛髪再生医療はビジネスとしても大きく展開できる可能性があります。韓国や中国のベンチャー企業が臨床試験に入ろうとしているという情報もあり、負けられないと思っています。最終審査では、大学で開発した私達の技術の優位性、ビジネスとしての可能性、TrichoSeeds設立メンバーの熱意を伝えられればと思います!また、一緒に取り組んで頂ける仲間(特に臨床医と経営人材)を求めています。

株式会社TrichoSeeds	福田 淳二(Fukuda Junji)

日本人腸内細菌叢データベースを活用した腸内環境評価システムの開発

株式会社プリメディカ 小川 健太(Ogawa Kenta)

 本事業は京都府立医科大学、摂南大学、株式会社プリメディカによる産学連携体制により生み出された研究成果です。質の高い診療情報データを持つ京都府立医科大学、腸内細菌叢の測定・解析ノウハウを持つ摂南大学、検査サービスの事業化経験が豊富な株式会社プリメディカ、それぞれの強みを活かすことで、研究成果の早期社会実装を実現いたしました。
 三者間の産学連携体制は一時的なものではなく、継続的な共同研究を前提としており、腸内環境評価システムの継続的なアップデートを行っています。本事業を通して、新たな研究を実施することでエビデンスを構築し、研究成果の社会実装(≒事業化)を推進します。
 腸内環境評価システムがアップデートされることで、日本独自の食文化に最適化した機能性食品の開発など、国民の健康寿命延伸に資する研究における標準的な評価指標として、幅広く⽤いられることを目指します。

株式会社プリメディカ 小川 健太(Ogawa Kenta)

〈個人〉※五十音順

超音波照射による酸化ストレス耐性誘導を介した老化関連疾患予防法の開発

同志社大学 市川 寛(Ichikawa Hiroshi)

 老化関連疾患の予防には、生体内の活性酸素を消去する能力を高めることが必須です。適度な運動や食品の利用が抗酸化能を高めるとされていますが、我々はこれらに代わる方法として、ごくわずかな超音波を生体表面の一部に照射したところ、著明な抗酸化能の誘導が可能であることを確認しました。また、この方法によりサルコペニアの予防や寿命の延長を確認しています。また、2MHzの超音波を直接体表に照射する方法だけではなく、森林浴でもおなじみの40kHzの空中超音波を照射しても同様の抗酸化能増強効果があることを明らかにしています。すなわち、超音波をうまく活用すれば、酸化ストレスが関わるすべての疾病の予防ができるだけでなく、知らず知らずの内に生体の抗酸化能を高めて、健康を保持することが可能となります。様々なライフスタイルの中でこの超音波をうまく利用すれば、都会にいながらにして森林浴ができるような環境を構築できるものと確信しています。

同志社大学 市川 寛(Ichikawa Hiroshi)

オーラルフレイルの新規診断法と治療薬の探索-医科からのアプローチ

大阪歯科大学 楠 博(Kusunoki Hiroshi)

 現代の医学、歯学には共通の基盤を持つ部分が多く、両者の学問的な垣根はかなり低くなっています。
 本研究では口腔機能低下症の評価項目の一つである舌圧値を身体指標や血液データなどの医科での日常診療で得られる指標で推定した舌圧推定値が歯科診療の現場で有用であるかを評価します。さらに、最近全身のフレイル・サルコペニアの病態改善に有効であることが示され、注目を集めているnicotinamide mononucleotide(NMN)が口腔機能低下症の前段階であるオーラルフレイルの病態改善にも有効であるかを検討します。
 本研究により、医師であっても口腔機能の評価・スクリーニングがある程度可能になるとともに、従来、専門歯科医による口腔ケア、齲歯の治療、義歯の作製、口唇や舌の筋力訓練などが行われてきた口腔機能の低下への治療に、新たに経口薬が加わる可能性が期待され、医科歯科連携の推進につながると考えられます。

大阪歯科大学 楠 博(Kusunoki Hiroshi)


最終審査会

最終審査会は以下の通り開催いたします。参加はどなたでも可能ですが、事前に登録をお願いします。

■日時:2023年10月27日(金)15:00〜17:00
■開催形式:会場開催とWEBのハイブリッド
■参加費:無料(事前参加登録制)
■会場候補:日本橋ライフサイエンスハブ
(〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-5-5 室町ちばぎん三井ビルディング8階)
■スケジュール:
1. 実行委員長挨拶
2. 当日の進行についての説明
3. ファイナリストによるプレゼンテーション
4. 特別講演
  タイトル「坪田ラボごきげんT型戦略」
  坪田一男(株式会社坪田ラボCEO/
  慶應義塾大学医学部ベンチャー発協議会代表/
  日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長)
5. 審査結果発表と各賞表彰式
  大賞  100万円
  学会賞 30万円
  ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞 20万円
  最優秀アイデア賞 15万円
  アイデア賞 10万円
6. 審査委員長より総評
7. 閉会の挨拶

※終了後に、ファイナリストとの懇親会も設けております。
最終審査会を終えたばかりの誰よりも早いタイミングで、
お話が聞ける貴重な機会となっております。

皆さまのご参加を、お待ちしております。


開催概要

主催
日本抗加齢協会
共催
日本抗加齢医学会
後援
厚生労働省 経済産業省 日本医師会
三井不動産LINK-J読売新聞社
協賛
株式会社オールアバウト株式会社ケアネットバイオ・サイト・キャピタル株式会社太陽生命少子高齢社会研究所
スケジュール
[募集期間] 2023 年 5 月 8 日(月)~ 8 月 4 日 (金)まで延長 受付は終了いたしました
[書類審査] 2023 年 8 月 7 日(月)~ 8 月 25 日(金)
[1次審査:ファイナリスト決定] 2023 年 9 月 1 日(金)
[ファイナリスト発表] 2023 年 9 月 8 日(金)
[最終審査] 2023 年 10 月 27 日(金) 15:00~17:00
[懇親会] 最終審査会後        17:00~18:00
会場 : 日本橋ライフサイエンスハブ
(〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-5-5室町ちばぎん三井ビルディング8階)
募集テーマ
アンチエイジングからイノベーションを!
アンチエイジングに資するヘルケア分野のビジネスプラン/アイデアを広く募ります。
生活習慣病の予防、老化による疾病予防、高齢者の自立、医療、介護、技術、
創薬、遺伝子治療、再生医療製品、食品、化粧品、AI、ヘルスケアIT、
ビッグデータ解析、ディープラーニング、ウェラブルデバイス、環境など
賞金
 企業・団体応募 
大賞:100 万円 学会賞:30 万円
ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞:20 万円
 個人応募 
最優秀アイデア賞:15 万円 アイデア賞:10 万円
副賞
ファイナリスト企業を「日本抗加齢協会認定スタートアップカンパニー」に認定します。
起業支援サービス
大学発新産業創出プログラム(START)への推薦
製品やサービスの紹介(生活総合情報サイトAll About、ケアネット)
必要に応じて医学的な見地でのアドバイスや監修
大賞、学会賞受賞者は、第24回日本抗加齢医学会総会での発表(シンポジウム)
受賞企業に、第24回日本抗加齢医学会総会の企業展示支援
実行委員会
【日本抗加齢医学会イノベーション委員会】
■委員長
 坪田 一男(株式会社坪田ラボCEO 慶應義塾大学 名誉教授)
■委員
 堀江 重郎 (順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学 教授)
 森下 竜一 (大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授)
 新村 健  (兵庫医科大学 内科学総合診療科学 主任教授)
 尾池 雄一 (熊本大学大学院生命科学研究部分子遺伝学講座 教授 熊本大学医学部長)
 中神 啓徳 (大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座 教授)
 佐野 元昭 (慶應義塾大学医学部循環器内科 准教授)
 江幡 哲也 (株式会社オールアバウト 代表取締役社長)
 福田 伸生 (バイオ・サイト・キャピタル株式会社 専務取締役)
 藤井 勝博 (株式会社ケアネット 代表取締役社長)

応募について

応募条件
企業・団体・個人
※企業の場合は、ベンチャー企業のほか、企業の新規事業、社内ベンチャーも可とします。
※個人の場合は、日本抗加齢医学会会員または、日本抗加齢協会賛助会員社に所属する者とします。まだ会員となっていない場合は、応募前にご入会をお願いします。
※アイデア賞は個人のみとします。
応募締切
~ 8月4日(金)必着 受付は終了いたしました
審査基準
について
(1) インベンション(新規性、独自性、実現可能性)
(2) コマーシャライゼーション(市場規模、収益性)
(3) 社会貢献性
の複合点で優劣を判定します。
選考・最終審査
について
書類選考でファイナリスト(企業5枠/個人3枠)を選出します。
最終審査でファイナリストはプレゼンテーションを行い、その場で最終選考ならびに受賞者を決定し、授賞式を行います。
書類選考の参考として、必要に応じ面談をさせていただく場合があります。
ファイナリストにはプレゼンに関するアドバイスをさせていただく場合があります。
最終審査会
■日時:2023年10月27日(金)15:00〜17:00
■会場:日本橋ライフサイエンスハブ(〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-5-5室町ちばぎん三井ビルディング8階)
■特別講演: 特別講演タイトル「坪田ラボごきげんT型戦略」
坪田一男
株式会社坪田ラボCEO
慶應義塾大学医学部ベンチャー発協議会代表
日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長
坪田一男
 2019年の医薬品医療器具の輸入超過は4兆円にも及び、貴重な外貨が流出していることは大きな社会問題だ。抗加齢医学の世界でもサプリメント、ホルモン製剤、キレーション製剤、美容レーザー、さまざまな測定装置をはじめ多数のものが海外製であり、日本独自のイノベーションによるものは少ない。抗加齢医学専門医の先生方は独自の専門をもって日々診療にあたられている。ここに横軸にあたるコマーシャリゼーションの視点を入れることによってイノベーションを起こしていける。これがT型戦略である。本講演は坪田ラボを例に、どのようにT型戦略で抗加齢医学を用いた起業、イノベーションを行ったか総括してみたい。

略歴
1980年 慶應義塾大学医学部卒業
1987年 日米の医師免許取得後ハーバード大学角膜クリニカルフェロー修了
2004年 慶應義塾大学医学部眼科教授に就任
2019年 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 EMBA(Executive MBA)取得
2022年 坪田ラボを東証グロース市場に上場させ世界の近視、ドライアイ、老眼の課題解決にチャレンジしている。

お問合せ先
ヘルスケアベンチャー大賞事務局(日本抗加齢協会内)
〒103-0024東京都中央区日本橋小舟町6-3 日本橋山大ビル4F
e-mail:healthcare-v@anti-aging.gr.jp
TEL:03-5651-7503
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