実行委員長からの報告
第4回ヘルスケアベンチャー大賞
実行委員会委員長
イノベーション委員会委員長
株式会社坪田ラボCEO
坪田 一男
ご存知のように現在日本の医療、特にアンチエイジングの領域では、海外製品が非常に多く存在します。2019年だけで、4兆円の外貨が流出していると言われています。COVID‑19のワクチンだけで8000億~1兆円、為替差益を考えると今年は恐らく5兆5000億ほどの外貨が流出してしまいます。
石油や天然ガスを買うことは仕方のないことですが、その代わりに日本では頭脳を輸出するんだ、ということを僕たちは中学校・高校で習ってきました。車産業のように、医療産業も絶対稼がなければいけないのに、それが逆になっている。これではいけない、ということで、前・理事長の堀江先生、そして山田理事長、さらに大学発ベンチャーの雄である森下先生などのご協力を経て、このイノベーション委員会を立ち上げております。年々プレゼンテーションのレベルは上がっており、将来が楽しみです。
ご来場・ご視聴いただいた皆様は「自分もやってみよう」と必ずや思ってくれたと思います。アイデア勝負の時代ですので、お金や人、場所などは、あとから付いてきます。ぜひ良いアイデアをもとに、これから日本抗加齢協会・日本抗加齢医学会からも、新たなベンチャーが生まれることを願っております。
第4回ヘルスケアベンチャー大賞を終えて
第4回ヘルスケアベンチャー大賞事務局
バイオ・サイト・キャピタル株式会社
福田 伸生
最終選考会は会場とオンラインのハイブリッド開催となりました。3年ぶりのリアル開催に合わせて選考会終了後にファイナリストと参加者が交流できる場を、感染対策を施しながら設けていただきました。
さて今回の特徴は、ハイレベルのベンチャー企業に数多く応募していただいたことです。大賞に輝かれた株式会社エムは、既に投資家からコンバーティブル・エクイティで資金調達をされています。また学会賞を受賞された株式会社ASメディカルサポートは、細胞培養から治療、リハビリまでをワンストップで行えるセンターを設置して事業を展開されています。応募者のほとんどは大学や研究機関のシーズを基に事業を起こしたベンチャーでしたが、インベンションとコマーシャライゼーションが融合してイノベーションを確実に実現しつつある事業ばかりでした。
企業応募の陰に隠れて今回は個人の応募が目立ちませんでしたが、過去に応募され入賞された方々から起業の知らせが届いています。このヘルスケアベンチャー大賞が、未来の日本を支える企業を輩出するベンチャー・エコシステムの一助となりますよう祈念いたし、また、そうなるよう継続いたしますので、多くの皆様の参加をお待ちいたしております。
総評
第4回ヘルスケアベンチャー大賞 審査委員長
日本抗加齢医学会 理事長
近畿大学アンチエイジングセンター 教授
近畿大学医学部奈良病院皮膚科 教授
山田 秀和
本イベントには初期から参加をさせていただいておりますが、どんどん皆さんの喋りが上手になり、プレゼンのレベルが物凄く上がっていることがよくわかります。また、ご準備されているスライドのレベルの高さ、あるいはその内容、観客が聞きたいことを大変よくまとめていただいておりました。
ご存知のように医療分野では、日本からお金がどんどん失われているということで、後進国のようになってきております。1ドル=150円というとんでもない状況で、ますます下がっていく可能性が高い中、日本の成長分野に貢献できる手立ての一つが「ヘルスケアベンチャー大賞」であれば良いなと思っております。
日本抗加齢協会や日本抗加齢医学会は、ヘルスケア分野の企業をできるだけチャレンジングにやっていただける企業や人を応援したい、それが今の学会の存在意義ではないかと思っておりますし、我々の価値を高めることに繋がるのではないかと思います。
ですので、ご来場・ご視聴いただいた方々の中で、企業や投資家、あるいは事業のマッチングをされている方々には、“これから事業を拡大する時にどうしていくべきか”といった際に、ぜひヘルスケア全体を成長拡大させていくようなことも考えていただければと思っております。ありがとうございました。
◇大賞(企業)
株式会社エム プレゼンター:森 進
「脳MRI画像解析に基づく全脳の構造別体積・健康状態の可視化、認知症予防」
大賞に選出頂き、ありがとうございます。
昨年6月の創業から約1年後の7月にサービス提供を開始し、現在、導入医療機関の拡大にこぎつけました。その間、ファンドレイジング、社会実装に耐えうるプロダクト開発、実証テスト、規制対応、セールス、カスタマーサクセスと、研究ばかりやってきた私にとっては新しい体験と挑戦の連続でした。
その一方で、医療機関、アカデミズム、投資家、事業会社、システムベンダー等のあらゆる業界の皆様から多大なご賛同とサポートをいただき、今後の活動への思いを新たにしています。
そのような折、今回のヘルスケアベンチャー大賞で栄えある賞を頂き、私自身大変励みになりました。また、今回参加されたファイナリストの皆様、審査員の先生方と交流できたのも大きな収穫です。
「団塊の世代」が75歳前後になった現在、認知症が社会的にも健康上の最大の問題になることは確実です。脳は一度病気になると元に戻るのは困難な臓器です。従って、病気になる前に予防できる人を増やすこと、すなわち「一次予防を人口レベルで達成すること」が非常に重要です。ここでキーとなる最初かつ最大の一歩は「脳の健康状態の可視化」です。
脳の健康状態を調べる最も有効な手法の一つが脳MRIであり、日本には既に脳ドックという世界に類を見ないインフラが整備されています。しかし、このシステムは、脳動脈瘤といった特定の病気の早期発見に使われており、「未病の段階」すなわち認知症に至るまでの脳の健康状態の可視化には用いられていませんでした。私たちはこの既存インフラを有効活用することで、他の臓器では健診で当たり前に行われている「数値化により病気に至るまでの未病段階で自分の健康状態を知る」というステップを、最も大切な臓器であり、現在我々の健康寿命を奪う要因第一位の臓器である脳に広げることに挑んでいます。
私たちの事業を通じて脳の数値データが社会に蓄積されていくことになります。これらのデータ活用により新たな洞察や有用なプロダクトを世に出し続けることで、認知症医療のアップデートに貢献することが私たちのミッションです。
今回の受賞が私たちの事業を多くの方に知って頂く非常に良い機会となったことを既に実感しております。大会主催者を始め多くのサポートをいただいた方々には感謝の念を伝えたいと思います。
◇学会賞(企業)
株式会社 ASメディカルサポート プレゼンター:櫻井 由美
「再生医療(幹細胞治療)と再生医療リハビリによる脳血幹障害を持った重度要介護者のアンチエイジングへの希望」
組織培養に25年間関わってきましたが、今回このような晴れ舞台で発表し学会賞をいただけたことに非常に嬉しく思います。
培養士の仕事は再生医療分野では、縁の下の力持ち的な目立たない存在です。しかし単に機械的に作業をして、個体差がある細胞を同じように扱っては、体の中にしっかりと働く細胞を作る事は出来ないのです。過去はその事を解決するにはどうすれば良いか悩んだ時期があります。
しかし九州再生医療センターはクリニックとリハビリセンターが隣接する複合施設のため、期待と希望をもって幹細胞治療にみえる患者様の様子が知れるため、責任感を持って仕事をしないといけないと思えます。
特に生浮遊細胞を医療機関に提供する事は、コストだけでなく培養士の技能が一定してないと難しい技術となります。教育訓練や技能テストを繰り返す事が大切だと思っていますし、その苦労が報われた気がしました。
さらに、リハビリ士さんが幹細胞治療を受けた患者さま毎に、短期目標を達成する独自のリハビリプログラムを、徒手療法により動作能力の改善を促している努力も認めてくれたと感じました。今後は「再生医療リハ」として、技能の向上に努力してくれると信じています。この融合が脳血管障害となった方へ、見た目の変化(アンチエイジング)を生み出す事ができたのだと思います。
脳血管障害となった方は、今までと同じ生活ができない事で、ある人は「うつ」になって、外出する事が苦痛となり家にひきこもりがちになります。そうなると、身なりを気にしなくなり、どうしても見た目年齢が実年齢よりも老けてみえてしまいます。その方たちに新たな希望を提示する事ができたと思います。
発表の時は、WEB上で社内の多くのスタッフが応援してくれて、受賞時にはみんなで歓喜の声が出たと報告を受けました。大きな仕事を成しえるには、私は団結力とチームワークが必要だと思っています。今回の受賞で社員のモチベーションアップに貢献できたと思っています。
◇ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞(企業)
株式会社ナールスコーポレーション プレゼンター:川崎 元士
「「ナールスゲンⓇ」およびナールスゲン含有化粧品の販売」
弊社は研究出身者が多く、成果をアピールしていかに販売に結びつけるかが大変苦手でした。そういう意味で今回の第4回ヘルスケアベンチャー大賞への応募についても、以前に1度応募して書類審査で落選していたので、やっぱりやめておこうかというのが私の正直な気持ちでした。しかし社内メンバーから、あれから数年たち会社もあの当時と比べて成長してきたのだから、再度チャレンジしてみましょうと強く勧められたことで応募を決意いたしました。その結果ファイナリストに選ばれ、ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞を頂くことができました。再チャレンジしたからこそ得られたチャレンジ賞の喜びを、応募を勧めてくれ、申請書類やピッチ資料作成を手伝ってくれたメンバーとともに分かち合い、そして、この成果を今後の営業活動に結び付けてまいります。主催者並びに関係者の皆様、本当にありがとうございました。
◇ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞(企業)
InnoJin株式会社 プレゼンター:奥村 雄一
「ドライアイ診断補助用スマートフォンアプリケーションの開発」
この度は、第4回ヘルスケアベンチャー大賞・ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞に選出頂き、誠にありがとうございます。
InnoJin株式会社は、2020年12月に設立された順天堂大学発ベンチャー企業です。主に眼科領域における医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでおり、「人にやさしい」デジタル医療の実現をビジョンに掲げ、スマートフォンアプリケーション(スマホアプリ)型医療機器の研究開発などを行っています。今回のヘルスケアベンチャー大賞では弊社が開発を進めているドライアイ診断補助用スマホアプリに関する取り組みを紹介させていただきました。
ドライアイは本邦で2,000万人以上が罹患するとされるとても多い眼疾患です。ドライアイは、眼乾燥感や眼精疲労、視力低下などの原因となり、生活の質(QoL: Quality of Life)や集中力、労働生産性の低下を引き起こします。現在、ドライアイを根治する方法はなく、点眼などの対症療法が中心となるため、ドライアイの早期診断・早期治療が重要です。しかし、症状の多様性から診断に至っていない患者様や、学生や就労世代の方などで眼科に通院する時間が確保できず適切な治療を受けられていない患者様が多くいることが分かっています。
本邦においてドライアイを診断するには患者の眼表面に染色を行い、細隙灯顕微鏡下で涙液層破壊時間を測定する必要があります。この検査は患者への接触・侵襲を伴います。また遠隔診療・オンライン診療などの細隙灯顕微鏡による眼の観察が不可能な医療現場においてはドライアイ診断ができないというアンメットメディカルニーズが存在しました。
そこで我々は、スマホアプリでドライアイの診断補助ができる医療機器の研究開発に取り組んでおります。今後は多機関共同特定臨床研究や検証的治験を実施し、薬事承認・保険償還を目指してまいります。
この度はヘルスケアベンチャー大賞の審査プロセスを通じ、審査員・関係者の方々から、多くの激励・応援を頂き、本当に心強く感じました。最終審査会の会場にも、ドライアイの自覚はあるものの、眼科通院ができていない方が多くいらっしゃいました。審査会後には「是非とも早い社会実装を願っています」という励ましの言葉も多数頂戴しました。この素晴らしいイベントに参加できたことを心から感謝するとともに、今後とも多くの研究者・科学者の方々にお力添えを頂きながら、ビジョンの実現に向けて邁進していきたいと思います。
◇ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞(企業)
株式会社TearExo プレゼンター:堀川 諒
「予防医療を実践する、涙を使ったヘルスケア・インフラ構築」
この度は、第4回ヘルスケアベンチャー大賞にてヘルスケアイノベーションチャレンジ賞に選出いただき、大変嬉しく思っております。改めまして、日本抗加齢協会・日本抗加齢医学会の関係者の皆様、ヘルスケアベンチャー大賞選考委員会の皆様に厚くお礼申し上げます。またプレゼンテーションに向けてご助力下さいました皆様にも重ねてお礼申し上げます。
弊社は、神戸大学にて開発された世界初のナノ加工技術を用い、涙液中のがん関連細胞外小胞を高感度・迅速に検出する「TearExo法」をコア技術とする、神戸大学認定大学発ベンチャー企業です。TearExo法により、血液だけではない、涙による検査という選択肢を提供し、痛みのない検査と専門医連携によって、誰もが「がん」という疾患から解放される世界を目指しています。
がんは、加齢により罹患率が急激に増加する加齢性疾患であり、労働寿命・健康寿命の延伸のためには、検査ハードルの低い予防・リスク検査法が必要不可欠です。そこで我々はTearExo法により、がんのリスクを自己管理しつつ、かつ早期発見・早期治療を促進するヘルスケア・インフラを構築することに挑んでいます。
ヘルスケアベンチャー大賞の審査プロセスを通じて、審査員の先生方から技術・事業に対するご助言を賜ることができ、非常に貴重な機会であったと感じております。このような機会を与えていただきましたことに心から感謝申し上げるとともに、弊社の掲げるビジョン【涙1滴で、誰もが「がん」から解放される世界】の実現に向けて、引き続き邁進して参ります。
◇アイデア賞(個人)
プレゼンター:岡崎 裕(横浜薬科大学)
「現代の"脈診"技術で健康日本創出に貢献するパーソナル脈波装置」
今回まず最終審査会で発表する機会を頂きましてありがとうございました。改めまして主催者、審査員の皆様に御礼申し上げます。
実行委員長の坪田先生のお話しにありましたように、新しいアイデアこそ大事であり、そのアイデアさえ良ければ人・もの・お金はあとからついてくる!というお言葉に、アイデア賞受賞者としてとても勇気づけられました。最終審査会は会場・演出・司会進行いずれも素晴らしく久しぶりに高揚感を感じました。企業5社の皆さんの発表は、いずれもオリジナリティに溢れた素晴らしい内容で感銘を受けました。自分はトップバッターということもあり、緊張して必ずしも時間内にその価値まで十分お伝え出来なかった点が反省点の一つです。
スマホで日常的にすぐ測定可能というSPAの利点は様々あります。心臓血管系イベントは早朝から午前中に多いことが知られており、まず起床直後の脈波をチェックすることがポイント。朝の動脈は相対的に硬いのですが、その程度は加齢や体調により様々。さらに朝食後に測定できれば消化に伴う脈拍数アップ等で一時的に血管が柔らかくなり(血管内皮機能)、また自律神経活動レベルも低下&リラックス傾向へ。こういった変化が加齢やストレスで不明瞭になってきます。これらを日常生活上で毎日チェック。不整脈の有無もすぐ判明。SPAでは血圧計では把握できない部分の健康の“見える化”ができます。測定結果を踏まえ、運動やサプリメント等アンチエイジングに向けた食・生活習慣の見直しへとつながり、その成果を自らSPAで確認してさらに励む。こうした正のループを繰り返し、未病から真に健康な体へと “若返って”いく。また医療や薬局などの現場で患者さんやお客様の健康状態をチェックすることで新たなヒントを掴むことも可能と考えます。
この研究は6年前偶然この高精度センサーと出会ったことからスタート。さらなる偶然は特に自律神経測定機能評価の意義を後押ししてくださった方との出会いです。物事が動くとき“偶然”としか表現できない幸運が重なり、最短で何の障害もなくスムースに進みます。今回の皆様とのご縁が新たな“偶然”を生み出すきっかけになることを願ってやみません。昨年立ち上げた健康・脈波総合研究所webサイトが、その入口になれば幸いです。このように一研究者でも自身の研究成果で世の人々の健康に貢献したい方は、是非この素晴らしいヘルスケアベンチャー大賞にチャレンジなさってみてください!
大賞
株式会社エム
脳MRI画像解析に基づく全脳の構造別体積・健康状態の可視化、認知症予防
学会賞
株式会社ASメディカルサポート
再生医療(幹細胞治療)と再生医療リハビリによる脳血幹障害を持った重度要介護者のアンチエイジングへの希望
ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞
InnoJin株式会社
ドライアイ診断補助用スマートフォンアプリケーションの開発
株式会社TearExo
予防医療を実践する、涙を使ったヘルスケア・インフラ構築
株式会社ナールスコーポレーション
「ナールスゲン®」およびナールスゲン含有化粧品の販売
アイデア賞
岡崎 裕(横浜薬科大学)
現代の"脈診"技術で健康日本創出に貢献するパーソナル脈波装置
書類審査、1次審査を経て、以下企業・団体5組、個人1名が、最終審査会への出場するファイナリストに決定しました。
(五十音順)
InnoJin株式会社
ドライアイ診断補助用スマートフォンアプリケーションの開発
株式会社ASメディカルサポート
再生医療(幹細胞治療)と再生医療リハビリによる脳血幹障害を持った重度要介護者のアンチエイジングへの希望
株式会社エム
脳MRI画像解析に基づく全脳の構造別体積・健康状態の可視化、認知症予防
株式会社TearExo
予防医療を実践する、涙を使ったヘルスケア・インフラ構築
株式会社ナールスコーポレーション
「ナールスゲン®」およびナールスゲン含有化粧品の販売
岡崎 裕(横浜薬科大学)
現代の"脈診"技術で健康日本創出に貢献するパーソナル脈波装置
ファイナリスト企業5社は日本抗加齢協会認定ベンチャーとなります。
ファイナリストには、今後個別に最終審査会までのご案内をさせていただきます。
2022.11.04
読売新聞の医療サイト:ヨミドクターにて「第4回ヘルスケアベンチャー大賞」最終審査会の模様が紹介されました。
詳細は、こちらから>>>
< 企業・団体 >
ドライアイ診断補助用スマートフォンアプリケーションの開発
InnoJin株式会社 奥村 雄一(Okumura Yuichi)
本事業では、ドライアイ診断補助用スマートフォンアプリケーション(本アプリ)を開発し、ドライアイ診断のデジタルトランスフォーメーション (DX)を実現させる。本アプリはプログラム医療機器として薬事承認および保険償還を目指し、上市後は眼科医療機関等を対象に販売、運用を行う。
本アプリの社会実装により、非侵襲的・非接触的なドライアイの病状評価が可能となるだけでなく、遠隔診療・オンライン診療の場におけるドライアイの定量的評価が可能となる。これにより、眼科受診が困難な学生や就労世代のドライアイ未診断者に対し、早期診断・早期治療が実現できる可能性がある。また、アンチエイジングの観点からも、本アプリを活用したドライアイに対する適切な治療介入により、視覚の質の向上や、高齢者の身体活動量の改善による認知症や寝たきりの防止、健康寿命の延伸などに繋がると考える。
再生医療(幹細胞治療)と再生医療リハビリによる脳血幹障害を持った重度要介護者のアンチエイジングへの希望
株式会社 AS メディカルサポート 櫻井 由美(Sakurai yumi)
株式会社 AS メディカルサポートは、「九州再生医療センター」内にあります。2021年6月23日に許可を受けた施設として、今まで約 800 件の脂肪由来幹細胞を生浮遊細胞状態で医療機関に提供してきました。
同センター内には、医療機関とリハビリセンターもあり、その融合と連携により、要介護となった重度の脳血管障害の患者様が、幹細胞治療とリハビリを重ねる事により、現在は身体機能回復を希望されるだけでなく見た目(アンチエイジング)の改善を希望されるまでなりました。
弊社の幹細胞は患者様の来院に合わせて生浮遊細胞を培養し医療機関に提供しています。その方法は、コストだけでなく培養技術も乗り越えるべき課題が多くあります。複合施設だからこそ患者様のお役にたてている様子が知れるため、培養士の仕事に対するモチベーションが維持できています。培養士の高い技術が維持できている事を誇りに思います。
脳MRI画像解析に基づく全脳の構造別体積・健康状態の可視化、認知症予防
株式会社エム 森 進(Mori Susumu)
認知症に代表される「脳の健康問題」は、いまや健康寿命を奪う最大の要因であることをご存知でしょうか。それにもかかわらず、脳は病気を発症するまで健診の対象にすらなっていません。そして、脳の病気は発症してから対処する方法はほとんどありません。
我々は脳の健康管理の重要性を啓蒙し、管理の基準となる脳健康状態を数値化し、可視化を推進します。
弊社が展開する MVision は、世界最高の普及率を誇る日本のMRI 機器インフラと世界的にも稀有な健常者の脳画像ビッグデータを最大限に活用することにより、脳の劣化の直接指標である萎縮や白質病変を数値化し統計評価します。受診者は脳の健康状態をリアルタイムに把握できます。
創業1年で、いち早く既存の脳ドックに正式サービスとして提供開始しました。今後は、受診者数が限られる既存の脳ドックの枠を超えて、国民全体が気軽に受診できる革新的な脳健康管理システムの構築を目指します。
予防医療を実践する、涙を使ったヘルスケア・インフラ構築
株式会社TearExo 堀川 諒(Ryo HORIKAWA)
本事業は、涙液を用いたがんのリスク検査ツールを実用化して、病院、薬局、製薬企業、保険事業者、商社などを通じて人々に広く提供し、専門医と協働することで、がんの早期発見・早期治療を促進するヘルスケア・インフラを提案する。
がんは、加齢により罹患率が急激に増加する加齢性疾患であり、健康寿命の延伸のためには、検査ハードルの低い予防・リスク検査法が必要不可欠である。本事業のコア技術TearExo法は、神戸大学が独自に開発したナノ加工技術を駆使して、涙液中のがん関連細胞外小胞を高感度・迅速に検出する。この検査法により、がんのリスクを自己管理しつつ、かつ早期発見・早期治療するヘルスケア・インフラを構築する。
本事業は、人々が一生涯を通じて健やかに働きながら過ごすことのできる社会を実現し、労働寿命と健康寿命を延伸することで個々人の人生の自己実現をサポートする内因的なアンチエイジング効果を創出すると確信する。
「ナールスゲン®」およびナールスゲン含有化粧品の販売
株式会社ナールスコーポレーション 川崎 元士(Motoji Kawasaki)
ニキビやアトピーなどの皮膚疾患、高齢化による皮膚バリア機能の低下がもたらす感染症など、深刻な皮膚トラブルは未だ十分に解決されていない。京都大学と大阪市立大学(現在、大阪公立大学)の共同研究から誕生した革新的素材「ナールスゲン🄬」は、これらの課題解決に貢献する。ナールスゲンは、選択的GGT阻害剤で、皮膚の細胞に働きかけ、グルタチオンやヒアルロン酸等の産生を促し、細胞から皮膚の状態を改善し、バリア機能を高めることができる。しかも劣化した細胞にしか作用せず、安全性が高い。ナールスゲンに関して、9の学術論文、11の特許がある。
弊社は、ナールスゲン、ナールスゲン配合化粧品を販売している。さらに、医薬品、植物等を対象とした共同研究を、多くの大学や企業と行っている。
これまで公の場での自社紹介の機会はなく、今回の最終審査会を通して、多くの方々に、ナールスゲン、弊社について知っていただきたい。
< 個人 >
現代の"脈診"技術で健康日本創出に貢献するパーソナル脈波装置
横浜薬科大学 岡崎 裕(Okazaki Yutaka)
「真に健康であることの大切さが今ほど再認識された時代はないだろう。古来より人間は心臓・血管をはじめ体内情報が手首脈=橈骨脈波に表れることを知っていた。一方、高度ICT技術により微細な血管からも脈波を抽出することが可能となった。スマートウォッチ等として様々な生体情報をモニターし人々の健康増進に貢献している。しかしながら、これらは橈骨脈波を計測対象としない。そこで今一度原点に戻り、最新技術で橈骨脈波をスマホ等で測定できる脈波装置SPAを開発した。この装置では動脈硬化系指標と自律神経バランス等のメンタル状態を同時に測定できる、ある意味「現代の脈診」装置である。日常このSPAで脈波測定することで自身の健康・加齢状態を把握できる。このシステムをまず大学研究及び健康ステーション化を目指す薬局チェーンへ試験導入。また発表者自身が経営する社内に健康・脈波総合研究所を立上げ日本人のアンチエイジングに貢献する。身体活動がカギ。農業は最適!
最終審査会は以下の通り開催いたします。参加はどなたでも可能ですが、事前に登録をお願いします。
■日時:2022年10月21日(金)15:00〜17:00
■開催形式:会場開催とWEBのハイブリッド
■会場:室町三井ホール(東京都中央区日本橋室町三丁目2番1号 COREDO室町テラス3階)
■スケジュール:
1.実行委員長挨拶
2.本日の進行についての説明
3.ファイナリストによるプレゼンテーション
4.特別講演
特別講演タイトル「デジタル技術による持続可能な医療」
上野 太郎 サスメド株式会社 代表取締役社長(医師・医学博士)
略歴
医師・医学博士
2006年東北大学医学部卒業
精神医学・神経科学分野を中心とした科学業績を多数有し、臨床医として専門外来診療も継続。大学や国立センター等との共同研究を主導。
井上研究奨励賞、武田科学振興財団医学系研究奨励、内藤記念科学奨励金・研究助成、肥後医育振興会医学研究奨励賞など受賞。
日本睡眠学会評議員、経済産業省ヘルスケアIT研究会専門委員。
5.審査結果発表と各賞表彰式
大賞 100万円
学会賞 30万円
ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞 20万円
最優秀アイデア賞 15万円
アイデア賞 10万円
6.審査委員長より総評
7.閉会の挨拶
この度、第4回ヘルスケアベンチャー大賞を募集します。
皆様ぜひ奮ってご応募いただければと思います。
この賞は、日本抗加齢協会、日本抗加齢医学会で日本初のアンチエイジングヘルスケア領域のイノベーションを起こすことをサポートする目的で作られました。昨年の第3回ヘルスケアベンチャー大賞も、第1回、第2回に引き続き大成功に終わり、たくさんのご応募をいただきましたことをこの場をお借りして御礼申し上げます。
現在、日本では新型コロナウィルスの感染が落ち着いてきたとはいえ、まだまだ長引いております。
社会のシステムや世界の価値観が大きく変わる中、あらゆる産業のイノベーションは待ったなしです。
新たなスタートアップやベンチャー企業を起こすのは容易なことではございませんが、是非、この超高齢化社会の中から、日本独自のイノベーションが起きることを期待したいと思います。
世界に誇れる1億人以上の方が80歳以上の寿命を保持していることには大きな価値があると信じております。
ヘルスケアベンチャー大賞はスタートアップベンチャーを対象にするものと、個人を対象にするものと2つの分野で成り立っています。ぜひビジネスモデルまで含めました企業に応募していただくとともに、アイデアだけだけどこれから練っていきたいと思われる個人の開業の先生や研究者の方も積極的に応募していただければと思います。
ヘルスケアベンチャー大賞の場にご一緒させていただくことで新しい価値の遭遇ができることを期待します。
第4回ヘルスケアベンチャー大賞 実行委員会委員長
日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長
坪田 一男
(株式会社坪田ラボCEO)